竹本組が考える”人と地球にやさしい”まちづくり ストック活用のまちづくりと長屋再生
株式会社竹本組
代表取締役 竹本 泰廣 |
近年、大阪の中崎町や空堀に代表される長屋再生のプロジェクトが話題となっています。中崎町界隈では、大阪や梅田の駅から近い立地も活かして、長屋を再生したカフェや雑貨屋、ギャラリーが若い世代を中心に集客し、空堀商店街では「からほり倶楽部」という有志の団体が建築家、地域の会社、地元住民、商店街関係者を巻き込んで、様々なイベントやアート、複合ショップの展開を行っています。
大阪市内にはこのような、歴史的資産と言わないまでも、戦後に建てられた築30年、40年といった老朽化した長屋が数多く存在します。今流行のデザイナーズ・マンションが最新の都市の住まいとするならば、かつてその主役は長屋でした。戦後の住宅難の時代、長屋こそが都市に暮らす庶民の住まいの主役でしたが、マンション等の集合住宅が大量に供給される時代の到来と共に、長屋という呼称は日常生活から消え、時代から取り残されてしまったといえます。しかし、今、こういう長屋が、都市景観や防災・耐震面の問題において一刻も早くリノベーションが必要であり、これからのまちづくりにおいて、長屋再生が重要なキーワードのひとつになることは間違いないと考えます。
老朽化した長屋住宅の改修や建替えは、住宅の性能面で改善すべき課題もありますが、住宅形式および既存居住者の生活を維持し、低層住宅のままリノベーションすることにより、マンション建設に比べると日照やビル風などの近隣住民へ悪影響もなく、新たな景観創造により地域の魅力を高める役割を果たすことが出来ます。また、耐震改修により、地震時の倒壊を防いで被災危険性の軽減を図るという点で、居住者の安全性確保において大きな意義を有します。
このような長屋再生におけるメリットをもう一度整理しますと
@まちの魅力向上に寄与する
Aマンション建設に比べると近隣住宅 の生活環境を維持できる
B耐震改修により防災性の向上に寄 与できる
C低コスト、公的補助金利用、税制面 の有利さ、オーナーの収益確保
Dストックの活用で環境にやさしい
ということがあげられます。
近年の少子高齢化の進行と人口減少、地球環境問題への意識の高まり、凶悪犯罪の低年齢化、まちなみや地域文化の保全・再生への関心の高まりといった社会的背景のもとで、企業としての都市づくり住環境づくりにおいて、新規に大型開発を提案するだけでなく、既存のストックを最大限に有効活用することこそが、人と地球にやさしいまち、地域コミュニティを大切にした安全なまちをつくることにつながり、これらの取組みは建築に関わる企業にとって重要な社会的役割のひとつとなることでしょう。
本来、日本の木造建築は、改修が容易であるにもかかわらず、安易に取り壊し、マンション開発に傾倒してたきたことは、反省する点も多いと考えます。木造住宅の持つ本来の潜在能力を評価し、既存住宅をストックとして積極的に活用していく発想こそが、
今、求められているのではないでしょうか。
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